右手に持ったケータイをぶらぶらさせながら、彼女は一気に話し出した。 「あたしさ、この前ね、郁己の部屋に忘れ物しちゃって。 ほら、廊下で会ったじゃない? あの日なんだけど。 郁己の部屋って、たいていいつもカギがかかってないからさ。普通に来ちゃったんだけど、今日に限って開いてなくて」 「はぁ……」 「電話したんだけど出ないんだよね。 困ったなぁ。どこに行くとか聞いてない? お隣さんなら知ってるかと思って」 「あ、あの……」