その間、お隣さんと顔を合わせることはなかった。 もっとも、あたしが部屋にこもりっぱなしだったから当然なんだけど。 “もう来ないから。安心しろ” 郁己くんが言ったとおり、突然のベランダ訪問もなくなっていた。 ――ううん、それだけじゃない。 お隣からは、何の物音もしなかった。 生活音のすべてが、聞こえてこなかった。 そんな変化を、あたしは気にかける余裕さえ失っていた。