お礼を言うことも、謝ることもなかったくせに。


あたしの口は、代わりに最低な言葉を投げつけていた。



「……会わなければ良かった……か」



目の前で悲しそうな顔をしている人に、


湧き上がってくる感情を、そのまま浴びせかけることしか出来なかった。



「これ以上……惨めにさせないでよ」



郁己くんの心をどれだけ傷つけていたかなんて気づきもせずに、


ただ、自分の感情だけを吐き出していたんだ。