「王子、か」 ため息に似た声とともに、郁己くんの手が離れた。 「情けねーだろ。そんなんで、こんな目に合うなんて」 「……え?」 「そこから抜け出さない限り、幸せになんてなれねーよ」 「……」 亜矢子に指摘されたことと同じようなことを言われて、あたしは口をつぐんだ。 「優しかったとか、イイ子だったとか、子どものころの話だろ?」 「……」