「びっくりさせてごめんな」 ……違うよ、郁己くん。 謝らなきゃならないのは、あたし。 だけど、 気持ちの整理がつかない口からは、次の言葉が出てこない。 本当なら、 助けに来てくれた郁己くんにお礼を言って、 忠告を聞かなかったことに謝って、 ちゃんと、反省をしなきゃいけなかったはずで。 なのに、あたしは、 思い出と現実の落差に肩を落とすことしかできなかった。