「いい加減にしろ。怖がってるのが分かんねーのかよ」 「っせーな。いきなり入って来て何様だ、お前。出てけよ」 「……出てくのはてめぇの方だろ」 素早く立ち上がった郁己くんの両腕が、男の人の襟元をつかんだ。 体格は五分だけれど、 郁己くんから発せられる圧力は、相手を充分に上回っている。