「泣いてるオンナ相手に何してんだよっ!」 偽物の王子様に馬乗りになっていたのは、郁己くんだった。 「最低のことしてんじゃねーよっ……」 振り上げたこぶし。 その手をまともに下ろせば、相手はケガどころの話じゃなくなるはずだ。 たぶん、我慢しているんだろう。 震えるこぶしをかろうじて空中に置いて、郁己くんは下にいる相手を睨みつけている。