夢中で叫んでいたのは、郁己くんの名前だった。 どうしてなのかは分からない。 でも、 「郁己、くんっ……!」 真っ先に浮かんだのが、その顔だったから。 「静かにしろよ」 「……っんっ!」 大声を出した口は、叩かれるような強さでふさがれて。 もう……ダメだ…… そうあきらめかけた時、 「な……にしてんだよっ!」 物が壊れるような音と一緒に、怒りをあらわにした声が飛び込んできた。