「可愛くてイイ思い出だなぁっては思うけど、結局は縛られてるだけだと思うんだよね」



「……縛られてる?」



「なんて言うかさ、自分の不幸を王子様のせいにしているように聞こえるんだよね、あたしからすれば。
王子様を理由にし過ぎてるんだよ、由梨は」



「……」



「指輪をなくしたのも、いつまでも昔の思い出に縛られるなっていうメッセージかもよ?」




亜矢子はきっと、真剣にあたしを心配してくれてたんだと思う。



「きっと見つかるよ」とか「大丈夫だよ」とか、


気休めにしかならない言葉をかけられるより、


こんなふうに言ってもらえることのほうが、たぶん、あたしにとってはいい事なはずなんだ。