----------☆ 「あれ? 指輪は?」 講義室の中。 シャープペンを持つあたしの右手の異変に気付いた亜矢子が聞いてきた。 「めずらしいね。つけてないなんて」 「……落としちゃったの」 「え? うそっ。いつ? なんで? どこに? 見つからないの?」 「亜矢子……、声、デカイ」 「あ。やば」 他の学生と講師の視線がこっちに注目して、あたしたちは肩をすぼめた。