「指輪ってことは……男子絡み?」
「うん……。そんな感じ」
「由梨のそういう話、全然聞いたことないもんなー。教えて?」
「……バカにしない?」
「うん。しない。あ、内容によっては分かんないけど」
おいおい……っては思ったけど、正直な亜矢子のことだから仕方ない。
ヘタに同情されたり心配されたりするより、逆にいいのかもしれない。
「あのね、」
それに。
ひとりでずっと、胸の内で温めてきた思い出だから。
誰かに聞いてもらいたいって気持ちもある。
「小さい頃にね……」
あたしは、指輪を見つめながらぽつぽつと話し始めた。