ピンクのガラス玉がついた、サイズ調整がやすやすとできるおもちゃの指輪。 あたしはこれを、5歳の夏からずっと……、淡い思い出と共に手放せないでいる。 「由梨?」 「……ん? あ、ごめん。で、先輩王子との次のデートは?」 「うん。来週ね、遊園地に行こうって」 「いいなぁ、遊園地。しばらく行ってないや」 「ところで由梨」 「ん?」 「聞いていい?」 「? 何?」 亜矢子の視線は、あたしの右手に向いている。