「……なんか……可愛い」



自分の口から出てきた言葉に照れくさくなって、あたしはアゴを引いた。



のど仏の下に続く、ちょっと汗ばんだ小麦色の肌。


あたしをすっぽり包んだ筋肉質な腕。


広くて、しっかりとしたたくましい胸。



……あたしのとは、全然違う。




「ねぇ……もうすぐ5分経つよ?」


「……んん……」



郁己くんがもしかしたら眠ってなかったかもしれないと思ったのは、



「……ねぇ……」



人肌の心地よさに負けたあたしのまぶたが落ちる直前に、



「……おやすみ」



ささやくような声で、髪を撫でられたような気がしたから……。