「ホント……ズルイ」



あたしの目はすっかり冴えてるのに。


こんなにあっけなく眠れるなんてさ。


やっぱり慣れてるんだなぁ……こういうこと。



「……まぶしくないの?」



カーテンの隙間から射し込んでる光が、郁己くんの前髪を照らしてる。


薄茶色の、柔らかそうな髪の毛。


思わずそっと触れると、形のいいおでこが現れた。



「あ、まつげ、長いんだぁ」



閉じたまぶた。


ちょっと開いた唇。


黙ってると、こんなにあどけない。