「ご褒美に、5分だけ。添い寝してよ」 「ご……ご褒美って」 「なんにもしないから」 「で、でもっ」 「オレ、ほとんど寝れてないんだよね」 「え?」 「由梨ちゃんのせいで」 「……う」 ほっぺの手のひらが頭の後ろに回る。 そっと引き寄せられたあたしのおでこは、郁己くんのちょっと乾いた唇の置き場所になった。 早鐘みたいに鳴り続けてる自分の心臓の音。 その隙間に、「ちゅ」っと聞こえたのは……気のせい?