腕枕された状態のあたしは、未だそこから抜け出せない。
両手で肩を押し返してみても、全然効果なし。
「もうちっと寝よーよ」
「ねっ、寝るなら一人でどーぞっ」
「ガマンしたんだよ? オレ」
「……え?」
すっと降りてきた手のひらは、
「……こんなに可愛い子が部屋にいるのに」
あたしのほっぺをふわりと包んだ。
「今だって……すげーガマンしてるし」
苦笑気味の、まだちょっと眠たそうな目で。
「あ……」
長くてキレイで……器用な指先が、
紅潮して敏感になっているほっぺをくすぐるから、
あたしは郁己くんに、視線まで絡めとられた。

