「こら待て!」 亜矢子が叫ぶ方向にぼう然としながら目を向けると、二人組の小さな男の子が、慌てて走りさっていくところだった。 どうやら、ふざけ合いながら走ってきた男の子の一人が、あたしに激突したようで。 そのはずみで、手からアイスが飛んでいったっていう……。 「……あたしのアイス……」 「やられたね」 「まだ一口も食べてないのに……」 「仕方ない。あたしの半分あげるよ」 「……ありがと」 ため息をつきながら見下ろした足元は、はねたアイスで汚れてる。