怖がってるあたしをからかってるのか、それとも単に急いでいるのか、郁己くんは10段以上先を上ってる。 必死で後を追っても、浴衣のすそと下駄のせいで足がうまく動かない。 しかも、 「痛い……。う、痛い……」 特に整備されてる感じのない石段は、所々が不安定にグラついて。 1歩足を踏み出すごとに鼻緒が指にすれて、いつの間にか皮が剥けていた。 「ダメだ……。ギブ……」 途中でしゃがみ込んだあたしのだいぶ上の方から、 「もう疲れたのか? 体力ねーなー」 郁己くんの呆れ声が降ってきた。