「ねーってばー! こっち、駅の方向じゃないんですけどーっ」 「誰が駅に行くって言ったよ」 「じゃー、どこ行くのーっ?」 「いいから、大人しくつかまてっろ。次、カーブくるぞっ」 「ひょっ、ひ~~~っ!」 まさか、浴衣の足でまたがることはできない。 両足をそろえてお姫様乗りしているあたしは、郁己くんの腰にぎゅうっとしがみついた。