俺がどんな思いで我慢して、

会うのを先延ばしにしたか。

それなのにいとも簡単に桃奈さんの隣にいる人が羨ましくて、悔しくて。

桃奈さんが『爽くん』さんと歩いてるのをみて、固まる。

桃奈さんも俺をみて戸惑ってるのか、

いつもより冷たくて、

突き放されてしまって。

桃奈さんと一緒に家に帰るとかいうし。

どうしても話がしたくて、

茉由を置いて走り出して追いついたら、

1人で歩く愛しい人が倒れそうになってて。

なんとか受け止めたけど、

冷や汗が止まらなかった。

不安で仕方なかった。

遥と合流して、部屋まで運んで手を握ったままそばにいた。

「れいちゃん」

と手を広げて呼ぶ好きな人は本当にずるい。

ゆっくり包み込むと、

「れいちゃんごめんね。…好きだよ。」

と自分の言いたいことだけ言ってまた眠りにつく。

…俺だってその何倍も好きだよ。