「怖くねーから、そんな怯えんな」
「……っ」
この人……良い人だ……。
「は、はいっ……」
「つーか、手握って平気なのかよ」
言われてから、ようやく自分の行動に気づいた。
「あっ……ほ、ほんとだ……」
そういえば、とっさだったとはいえ、自分から男の子の手を掴むなんてっ……。
はっと我に返り、彼から手を離した。
まだ手に残る、温かい体温。
「じ、自分から触れられたの、あなたが初めてですっ……」
自分でも、自分の行動にびっくりだ。
それに……
彼に触れた時、不思議と恐怖はなかった。
嫌な気持ちも……一体、どうしてだろう……。
「じゃあ、俺が治してやろうか?」
「え?」
彼の言葉に、首をかしげる。

