「大丈夫だから、な?」



頭を撫でると、花絵は眉の端をたれ下げながら俺を見つめてきた。



「も、もう、私のこと嫌いっ……?」



は……?

どうやら、嫌われたと勘違いしているらしい。


俺が花絵を嫌いになるとか、ありえないのにな……。



「幻滅、しちゃった……?」



捨てられた子犬のような目で、再び聞いてくる花絵。

俺は花絵を見つめ返しながら、口を開いた。



「好きだ」



言うつもりはなかった。



「だから落ち着け」



でも……花絵の涙を止めるためなら、自分の気持ちを吐露することくらいどうってことない。



「……す、き?」



花絵が、驚いたように目を見開いている。

まさか、本気で気づいてなかったのか……。