どうして今まで、あの空き教室に行かなきゃ水城くんに会えないと思い込んでいたんだろう。
同じ学校で、しかも同じ学年なんだから……直接水城くんの教室に行けばいいんだっ……。
「でも、水城くんの教室知らない……」
「Aクラスよ。あたしも一緒に行こうか?男子たち怖いでしょうし」
確かに、男の子は怖いけど……でも、
「ううん……ひとりで行ってくる……!」
これは私の問題なんだから、ミナちゃんに頼りっぱなしじゃダメだっ……。
「たくましくなったわね。あいつの影響だと思うと素直に喜べないけど」
「えへへ……ありがとうミナちゃん、行ってくる!」
「行ってらっしゃい」
私は急いで、教室を飛び出した。
普段、極力教室からは出ない。
男の子とすれ違うのは怖いし、他の教室に行くなんて考えられないことだった。