不良男子は溺愛体質

「やっぱり、水城くんはいい人っ……」



その笑顔を向けられるだけで、心臓がバカみたいに騒がしくなった。

くそ可愛い……。



「水城くんと話してると、なんだか男の人が苦手なのも、忘れそうになる」



「えへへ」と笑う花絵から、目が離せない。

こいつなんでこんな、可愛いことしか言わねーの……。

会ったばっかの女にここまで骨抜きにされている自分に、いっそ笑えてくる。



「これからもどうぞ、よろしくお願いしますっ……」



律儀に頭を下げてきた花絵に、俺は気恥ずかしさを隠すように「ああ」とだけ返した。


外を見ると、少し薄暗くなっている。



「帰るか?」



普段はこんな早い時間に帰らないが、花絵は多分もう帰っている時間じゃないのか。