彼は私の変な声が「はい」と聞こえたのか、とんでもない勘違いが生まれそうになっていた。



「ち、ちち、違いまっ……」

「やった……!」



ま、待って、違う……!違います……!!

喜んでいる男の子が、私の手を握ろうとしているのか、自分の手を伸ばしてきた。


怖くて、体が強張る。



「いやっ……!!」



やめて、来ないで……!!



「……おい」



空き教室に、響いた低い声。

もちろん私のものではなければ、目の前の彼のものでもないはず。

だとしたら……。



私は、恐る恐る振り返った。

その先にいたのは……鋭い眼光でこっちを見ている、男の人。


ひっ……!?


また新たな男の人が現れたことに、今度こそ腰を抜かしてしまいそうになった。