「いや、何もない」



気になったが、言うのはやめた。


マジで、男が苦手でよかったと思うほどの危機感のなさだな……。

つーか、いろいろと自覚がないのか……?


二度見するほど可愛い顔をしているが、本人は鼻にかけている様子もない。

もしかしたら、とんでもない天然かもしれない。


花絵が、俺の手をそっと握った。

今朝も思ったが……同じ生き物かと思うほどちっせー手。

女がみんなこうというより、花絵の手は小さすぎる。


そんな小さな手が恐る恐る力を込めて握ってくることに、愛おしさを感じた。

本人は力を入れて握っているつもりかもしれないが、羽根でも落ちてきたのかと思うくらい弱い力。



「平気か?」

「はい!」