あいつ、マジで来るつもりか……。
いつものように空き教室のソファに横になりながら、今朝の出来事を思い出す。
男に付きまとわれ、ぷるぷると小動物のように震えていた女……名前は花絵。
俺を見ながら怯えていたと思えば、男が苦手らしく、律儀に謝ってくる姿に不覚にもぐらっときた。
笑顔を見たときには、全身の血が逆流するみたいな強い衝動に襲われた。
一目惚れなんかあるわけねーだろって思ってたのに、一瞬で深いところまで落とされたような衝撃だった。
……いや、あんな無防備な笑顔向けられて、落ちない男いないだろ……。
あれはまじで、あいつが悪い。
会ったばっかの男にあんな顔……俺じゃなかったら襲われてるぞ。
今日も来るとか言ってたが……まあ、多分来ないだろ。