それでも君に触れたくて。


制服に着替えて下に降りて冷蔵庫を開ける。





んー、卵あるからスクランブルエッグ作ればいっか。…えーっとパンは…





「美咲のお母さんは?」





いつの間にか隣に桜庭くんがいて、私が手に持っている卵を見つめていた。




「あー、お母さんは看護師だから今日は夜勤で昼に帰ってくるの。」




「ふーん。」




あれ、そういえば…





「お父さんは?って聞かないの?」





うちは私が小さい頃にお父さんが亡くなっているから母子家庭。





なんでそれを知ってるみたいな口調なんだろう。






「玄関みたらお母さんの靴と美咲の靴しか置いてなかったから。」







「いつの間に見てたんだ…。」








そうやっているうちにもう行く時間。






私は玄関にポツンと1つだけ置かれたローファーに足を入れ、桜庭くんに







「お留守番、よろしくね。」






って言った。








すると桜庭くんは、何言ってんのって顔で








「俺も学校行くんだけど。」








と、衝撃の言葉を放った。