ウブで不器用なお殿様と天然くノ一の物語

しかし、忠告する事も出来ず、気づけば1年以上の月日が流れた。
鈍感な藤田も、さすがに気づいたのか、あからさまに避けているところを何度も見た。
思い詰めていく麗。

ムダな事はやめろ。
…俺なら……そんな目をさせないのに…

そう思った時、自分の心が麗に真っ直ぐ向いている事に気づいた。

誘ってみようか?
いや、同じ科なら、オペ後、気軽にメシを食いにいく事もある。
しかし、麗は接点があるとはいえ、他科だ。
誘えば、他意がある事は隠せない。

そこで、俺は藤田に頼みこんだ。
麗が1年以上も思い続けた相手に頼むのは、シャクだったが、仕方ない。

結衣子ちゃんの社交性のなせる技か、麗も参加するホームパーティーに俺も参加することになった。
そこで、思いがけず、麗の過去の告白を聞き、麗も藤田夫妻へ、尊敬の意を感じていることを知ることになる。
また医師として、真摯に患者に向き合い始めたことも。

あぁ。俺と同じだ!
藤田夫妻の愛情の深さを見せつけられ、人生観を変えるほど感動させられたんだ。

俺は、同じ価値観を持つ麗を絶対手に入れると決めた。

ホームパーティーをきっかけに、ゆっくりゆっくり、お互いを知ることに専念した。
驚いたことに、麗も俺の仕事をする姿に好意を持ってくれていた。