ウブで不器用なお殿様と天然くノ一の物語

でも俺は、それまで生きてきて、初めての充実感を感じていた。

仕事がこんなに楽しいものだと思わなかった。

元々手先は器用な方だった。
指導医からオぺを学んでいくうちに、対象が小さい程、俺自身のヤル気が湧くことに気づいた。
絶対に助けたい。
こんなに小さくて、これから長い長い人生が待っているはずの子供達を、健康な体にして病院から出してやりたい。
そう思って小児外科を極めたいと思った。

俺には大学病院で学べる期間にリミットがある。
いずれ、実家に戻らなくてはならない。
学べる限りのことを学んでおきたい。

それまでの女遊びもなりを潜め、キザな言い方になるが、仕事が恋人という日が続いた。
(まあ、全くないというわけではなかったが。)
それが俺の研修医時代だった。

医師になって3年目。
ついに藤田が幼馴染の結衣子ちゃんと式を挙げた。