ウブで不器用なお殿様と天然くノ一の物語

ノックと同時に入ってくるって、社会人としてどうよ!
と言いたくなるけど、身内だ。
しかも、扉の向こうで、まさかキスシーンが展開されているとは思わないだろうし。

「……兄貴、ノックして返事を聞いてから入室が基本だろ?びっくりさせんなよ。」

「びっくりしたのは兄ちゃんの方だっ!
お、お前らの方こそ、ここ親父の部屋だぞ。
院長室だぞ!ちょっとは慎め!」

「兄貴に言われたくないけど。
麗さんと出会う前は、散々不埒な付き合いを…」

「うわー!
灯里ちゃんの前で何言うんだよっ!
あ、灯里ちゃん!麗に変なこと言わないでねっ。」

なんだ、この兄弟…
どっちもどっちだよ…。

「修司先生、大変失礼致しました。
院長室になにか?
院長先生、今日はもう戻られないんですが…。」

「いや、大した話じゃないんだ。
プライベートなこと。
フフン、性別、わかったんだ〜!」

あ、麗先生の?

「わぁ〜、どっちなんですかー?
あ、私達が先に聞いちゃったら、院長先生、拗ねちゃうかな?」

「全然いいんじゃない?
お前たちなら。女の子だよ!
あ〜、俺もう今から楽しみで。
娘とデートするの、夢だったんだよー。」

「それはそれは。
麗さんに似た子だといいな。
兄貴に似た女の子って…なぁ…。」