ウブで不器用なお殿様と天然くノ一の物語

……ハッ⁉︎
ついつい考察してしまっていた。
難しい顔になってたなら、日頃の無愛想の賜物だな。
頭の中は見せられない。

「…なんでもない。
ごちそうさま。
これ、すごく美味かった。
また作って。」

「ホント⁉︎
良かった〜。
まだまだ作りたい料理、たくさんあるのよ。
楽しみにしててね!」

……あぁ、可愛い…。

食うか食われるか(こんな使い方だったか⁇)
もうどっちでもいい。
速攻で風呂だ。

「ねえ、彬良?
ケーキもあるんだけど、今すぐ食べられる?
お腹いっぱいかな?」

ケーキか。
もちろん食べられるけど、
出来れば風呂にこのまま……

「灯里、お腹いっぱいだろ?
先に風呂に行こう。
上がってからゆっくりもらうよ。」

「うん。そうだね。
ちょっとお腹苦しい。
あ、だったらこれ、先に渡しちゃう。」

そう言って渡してくれたのは、小さな四角い箱だった。

「え、プレゼント⁉︎
用意してくれてたのか!」

「当たり前じゃない。
なんか、色々悩んで、結局実用的なものになっちゃったんだけど…。
開けてみて?」

それは柔らかい皮の名刺入れだった。

「名刺入れ?
あ、俺持ってない。」  

「うん。
研修医だったから持ってなくて当然かもしれないけど、これからは必要だからね。
廣澤の看板背負ってるんだから。」

そんなことまで考えてなかった。  
さすが秘書だ。

「ありがとう。大事に使うよ。」