ウブで不器用なお殿様と天然くノ一の物語

「すごいね……。広ーい…。」

リビングとダイニングはかなりの広さだ。
広過ぎるように見える原因は……
家具が、ない……。

「……まだ、家具用意してないの?」

「……あぁ。ギリギリまで大学病院で仕事してて、用意する時間なかった。
引越しもらくらくパックだからな。」

あり得ないことに、この広い空間に折り畳み式のちゃぶ台が1つ。その上にマグカップがあるから、一応使ってるんだよね⁇

「あー、ごめん。
なんか、まともに座るところもないな。
あ、実家から借りてる座布団はあるから座って。コーヒー淹れるから。」

「……コーヒーは淹れられるの?」

「電子レンジと電気ケトルは持ってきたから。コーヒーもちゃんと一杯だてだぞ。」

……まあ、任せよう。



「お待たせ。」

「ありがとう。いただきます。」

これだけ広いと落ち着かないなぁ。
ここ、テレビもないじゃない。

「……灯里。
俺、灯里に聞きたいことがあったんだ。」

彬良が改まった様子で話しかけてきた。
何?何を聞かれるんだろう⁇

「……何?」

「大学の時のこと。」

「……大学?」

随分と前のことだな。

「……さっき、大学の時のこと少し話してただろ?」

「ん?……あぁ!コスプレ好きの友達のこと?それがどうしたの⁇」

「それって、男?」