ただアイドルになりたかった。


フリルとレースのいっぱいついた衣装を着て、舞台の上でキラキラ輝いて、大勢の人に夢と希望を与えられるアイドルになりたかった。


ただ、それだけなのに。


「どうして?」


私の目の前には血の海が広がっている。


――白鳥も。


いつか聞いた言葉を、私はぼんやりと思い出していた。


湖を優雅に泳ぐ白鳥も、その下では必死に足をばたつかせているの。足を止めたら、溺れて死んじゃうから――。


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