《喜菜》
「はい、じゃあ体育祭の実行委員会決めまーす。実行委員やってもいい人~?」

…だるいなぁ。

私の学校では、体育祭が6月に行われる。

私は、運動が大の苦手のため実行委員会とかになっても、迷惑しかかけることない。

みんな手を挙げない。

「おぉい、なんで手ぇ挙がらないんだ~、推薦でもいいぞ~」

推薦かぁ…。

「はい」

あれ、誰か手をあげたみたい。

「お、北野。やってみるか」

「いえ、推薦です。私は、小田原さんを推薦します」

えっ…。

私…?

「おー、小田原やってみるか?」

「えっと…少し考えさせてください」

そう、言ったけど…。

「小田原で決まりじゃね」

「小田原さん、向いてそう」

だとか、余計なことをクラスメートたちが
言う。

正直なところ、やりたくない。

「じゃ、小田原やってみたらどうだ?他の生徒からの、支持率もいいみたいだし」

いや…、実行委員会なんて、めんどくさいから押し付けただけですってば。

「よし、女子は小田原で決定だな。男子でしたいやついるか~」

え?ちょっと待ってよ!

私なにも言ってないのに、勝手に決めないで!

抗議の声をあげようとしたら、誰かの声によって、さえぎられた。

「…はい。」

誰かな?

えっ、寺山くんだ…。

「おー、寺山。立候補か?」

「はい。そうです。」

寺山くんとなら、心強いね。

「よし、じゃあ小田原と寺山で決定。頼んだぞ~」

キーンコーンカーンコーン♪

チャイムなった…。

というか、私、委員会のことオッケーしてないんですけど!

「小田原さんっ」

「寺山くん。どうしたの?」

「委員会、一緒になったから、職員室に資料取りに行こうと思って。」

いや…だから、私、実行委員になることOKしてないんですぅ…。

まあ…暇だったしいっか。

仕方ないなぁ、でも、この流れになったからには、仕事頑張らないと!

「じゃ、行こっか。」

そう言って、職員室まで向かう。

「小田原さん、委員会がある、月曜と木曜って部活あったりする?」

「え?あっ、私は部活入ってないの。」

そう。

私は読書が好きなので、拓の部活が終わるまで図書室で拓のことを待っているのだ。

だから、実行委員会の時間がちょうど、拓の部活の時間とかぶって、放課後の暇潰しにもなる、と言うわけ。

「そうなんだ。じゃあ、委員会は出れるよね?明後日からだけど」

「うん、出れるよ。っていうか、寺山くんはなんで実行委員なんて立候補したの?」

「そんなの…、下心からに決まってんだろ…。」

ボソッと言っているけど

「ごめん、なんて言ったの?」

「いやっ…そのっ…委員会に立候補するのは、内申あげるためだよ。」

「あ、そうなんだぁ。」

確かに、そういうことしてたら成績上がるかも。

私もやる価値ありだねっ。

ちょっとだけ、やる気が上がる瞬間だった。