「なぁ、森本」

放課後、トイレに行った喜菜を待っていたら、話しかけられた。

「あ、藤岡」

「お前、なんでそんなに小田原さんのこと
大事にすんの?」

「なんでって、あいつは、ビックリするほどのお人好しで、…大切な幼馴染みだから。そっちこそ、なんでそんなこと言ってくるんだよ?」

「…別に。ただ、すごい小田原さんを愛してるなぁと思っただけ。」

なんだ、こいつ。

…初めてそんなこと言われた。

喜菜を愛してるんだなぁって、俺が喜菜を好きなこと、ちゃんと理解してるんだな。

「なぁ、よかったらこれからも仲良くしてくれないか」

こんなことを言うのは、自分らしくないと思ったけど、なんとなくこいつとは、縁がありそうだったから。

「…いいけど。」

もう少し、話していたかったけど、喜菜が来た。

「あっ、拓~!お待たせ~!」

「じゃ、またな。藤岡」