《喜菜》

休日が終わった学校で、昼休みを読書しながら過ごしていた。

「ねぇ…ちょっといい?」

私に話しかけてきたのは、北野さんだった。

「いいよ。何?」

「ここじゃちょっと…話しにくいから、むこうの、空き教室行かない?」

「…わかった。」

北野さんに言われるがままに、空き教室にたどり着く。

「…で、話って何?」

「あの…、小田原さんって、森本くんのなんなの?」

何って…

「拓の…彼女…だよ。」

「っ!…そうなんだ。小田原さんが相手じゃ、かなわないよね。」

? つっ、つまり…北野さんは、拓のことが好き…ということ、だよね?

「それにっ、謝りたいこともあって。前に、その…ショッピングモールで森本くんと桃山さんを見かけたっていう、話をしたじゃない? それ…、ショッピングモールで見てたのはほんとなんだけど…うぅ…」

途中から、北野さんは、すすり泣きをはじめる。

「イチャイチャしてたっみたいなことも言ったでしょっ…? あれは、うそ…なの。ほんとにごめんね…」

「いいよ…。私は、拓を信じてるし…もう、問題はなくなったから。」

「問題って私だよね…。ごめんね、本当に。私の入り込む隙なんてなさそうだね…」

北野さんは、勇気をだして謝ってくれたんだよね。

…すごく嬉しい。

「ううんっ、ほんとに大丈夫だからっ、泣かないで。これからは、友達だよっ。」

「うぅ、小田原さん、なんていい人…っ…なの…?」

新しい友達がまた一人、増えました。