《喜菜》
…なんか、おかしい。

最近、ここみのことを敵視していた拓がよくここみと話している。

もう…、私のこと好きじゃないのかな。

なんて、ネガティブなことを考える。

「わっ!」

そう言いながら、私の背中に飛び付いてきた、ここみ。

「ビックリした~。心臓に悪いよ、ここみ。」

「ふふっ、喜菜やっと笑った。さっきから難しい顔して、何かあったの?」

…拓が、ここみのこと、好きかどうか考えてました、なんて言えるわけないでしょ。

「ううん、別になんともないよ。女の子の日なだけ。」

…これは、ホント。

でも元気がないのは、そのせいじゃない。

あぁ…ここみにウソついちゃった。

…ごめんね、ここみ。

「うわっ、大変だね。何日目?」

なにも知らずにそう聞いてくるここみ。

「四日目なんだけど。おなかちょっと痛くて。」

「保健室行く?大丈夫?」

気遣ってくれる、ここみが眩しい。

「ううん、保健室に行くほどでもないから。大丈夫。」

「そっか、気を付けてね。」

何に気を付けるんだよ、と思いながらも、そこは突っ込まないでおいた。

「ここみ、ごめんね。」

この、ごめんねに込めた意味は、色々ある。

ウソついて…ごめんねとか。

大事な親友なのに…とか。

「えっと、よくわからないんだけど、大丈夫だから気にしないで。」

何を謝っているの?とは、聞かないところがここみの優しさだ。

やっぱり、ここみは最高の親友だ。

「ここみっ、大好きっ。」

「? 今日、なんだか喜菜いつもと違うね。でも、私も大好きだよっ、喜菜。」

さっきまで、ここみと拓のこと疑ってた自分が大嫌いになるほど、ここみは最高だ。