「そろそろ、飯にしよう」

そういえばお腹減ってきたかも。

「いいね。どこで食べる?」

「そこにある、レストランでいいか?」

「うんっ。」

美味しそうなにおいもするし、決定!

「いらっしゃいませ。2名様ですか?」

「はい。」

席に案内されて、メニューを開く。

「喜菜は何にすんの?」

「ペンギンカレーにしよっかな。」

ご飯の上にペンギンのように海苔がおかれてて、すごくかわいいの。

「じゃあ俺は、海の幸ラーメン」

「店員さん呼ぼ!」


注文を終えて、料理が来るのを待っていると、メールが来た。

誰かなぁ、あまりメールする友達いないんだけど。

『デート楽しんでる?』

あっ、ここみかぁ。

『うん!すっごく楽しいよ!』

そう返信しておいた。

「お待たせしました。海の幸ラーメンとペンギンカレーでございます。」

「あ、俺、ラーメンです。」

拓が店員さんにそう言ってくれたので、必然的に私の前にカレーが来る。

わぁ、かわいい。

食べるのがもったいないくらい。

スマホのカメラアプリを開いて、カレーの写真を撮る。

「カレーの写真撮るか?普通。」

拓がそんなことを言うけど

「今は、映えってものがあるの。知ってるでしょ、ば・え。」

「はいはい、わかった。満足するまで映えを追求してくださーい。」

もう、意地悪なんだから。

「「いただきます。」」

一口食べてみると…

美味しい。

ごめんね、ペンギンちゃん。

「カレーうまそうだな。」

「ちょっと食べる?」

「あぁ。ラーメンもいるか?」

「じゃあ、もらおっかな。お皿ごと交換する?」

そう言いながら、自分のカレーを差し出す。

拓も、ラーメンのお皿を差し出してくれた。

「お、カレーうめぇじゃん」

「ラーメンも美味しいっ。もう一口食べていい?」

「ラーメンはいいんだけど、それ…」

「ん?それってどれ?」

拓がぶつぶつ言っているのが気になる。

「いや、何でもない」

「そう?ならいいけど。」

ラーメンをもう一口食べる。

ワカメが美味しい。

ふふっ、なんかこういうの幸せだなぁ。

「ほれ、カレー。ありがと、うまかった。」

「そりゃよかった。」



「1850円になります。」

「はい、じゃあこれで。」

そう言って拓が2000円を店員さんに差し出す。

また、払わせちゃダメじゃん。

こんなこと、お父さんに知られたら怒られちゃう。

「ありがとうございました。」

店員さんの声に押されるように店を出る。

「ねぇ、受け取ってよ。」

「だって、俺が誘ったんだぞ? 金受けとる訳にはいかねぇの。」

「じゃ、500円だけ! 私がお父さんに怒られないようにと思って受け取ってよ」

もう、押し付けるようにして500円を差し出す。

「親父さん、いい人じゃねぇか」

そう言いながらも、受け取ってくれたので一安心だ。

「いや、普段は過保護すぎるぐらいだけど、怒ったらホントに怖いんだってば。」

体育祭の打ち上げの時も、遅かったなぁ、って言われちゃったし。

まぁ、拓のことは信頼してると思うけど。

「ま、お土産ショップ見て帰ろうぜ。」

「うん、でもここみぐらいしか、お土産あげる人いない。」

「お土産ショップっていうのは、見て楽しむものなんだよ。」

確かに。

拓の言うことももっともだ。

お土産って、見てるだけで楽しい。

「ほら、行くぞ。」

「うん」



「あ。このぬいぐるみ喜菜そっくり。」

「え?どれどれ?」

拓が見せてきたぬいぐるみは、なまずだった。

「拓、ひどっ!」

「ははは、冗談だって。」

もう、拓ひどいよ。

「あぁっ、このネックレスかわいいっ!」

魚の形のもの。

ダイヤが、ほどこされているようで、ショーケースに入っている。

お値段も少し高め。

「ふぅん、喜菜そういうのが好きなんだ。」

「まぁね。あ、このお土産ここみに買っていくから、レジ行ってくるね。」

レジに向かう私の後ろで拓がネックレスをじっと見ていたことなんて、知る由もなかった。