幼馴染みの存在は

「ん…、何時…?」

目が覚めたら、5時になっていた。

熱は、ずいぶん下がったみたい。

ピーンポーン♪

インターホンの音…。

誰か来たのかな?

お母さん、いないみたい。

出なくちゃ…。

「はーい、ちょっと待ってくださいっ」

ガチャっと、扉を開けると拓がいた。

「喜菜。熱あるんだって?大丈夫かよ」

えっ、心配してくれてるの?

なんか、いつもは意識することなんてないのに、やたら拓のことを意識してしまう。

「うん、大丈夫。あ、上がっていく?」

「あぁ、ゼリーとか買ってきたから、おいときたいし」

「ありがとう、拓。入って?」

「お邪魔しまーす」

拓、わざわざ来てくれたんだ。

うれしい。

最近、拓にときめいたり、私の心はおかしかった。

…やっぱ拓のこと好きなんだ。

けど、きっと拓の、好きは、幼馴染みとしてだろう。

「じゃ、ゼリーとか置いといたから。俺帰るな」

「えっ、もう帰っちゃうの?」

…いやだ。

もっと拓と一緒にいたい。

そう思った私はきっと拓のことが好き。

「…らないで。」

「え?」

「帰らないで、拓」

うわぁ…恥ずかしいよ。

「ったく。俺の理性に感謝してほしいくれぇだわ」

「っえ?」

「だから、俺は、喜菜のことが好きなの! でも、お前は寺山と付き合ってんだから、喜菜の家に長居はできないなと思ってんの。」

え?寺山くんと私が付き合ってる?

「私、寺山くんとは付き合ってないよ?だってっ…私も…拓のこと好きっ…だから。」

ちょっと、いやかなり、噛んじゃった。

「は?断った?」

「だって、拓のこと好きだもん…。」

そう言うと、きつく抱き締められた。

「俺と、付き合って」

まさか、想いが通じるなんて。

「うん…。よろしくお願いします…」