《喜菜》
「ん…、まぶし……、って!もう7時10!」

驚いて思わず二度見してしまった。
大慌てで着替え始める。

はじめまして。私、小田原喜菜(きな)。

今日から花の女子高生です。なのに…

「ヤバいヤバいヤバ~いよー!」

そう連呼しながら、階段を降りる。

「あら~、喜菜。そんな慌てないでシャキッとしてよ、も~」

お母さんはそう言うけど…

「今日、始業式だよ?ヤバいよ!」

言いながら、コーンフレークを掻き込んでいると、ピーンポーンとインターホンの音がした。

「あらっ。こんな朝から誰かしらねぇ」

と言いながらお母さんは玄関の方へ行ってしまった。

誰が来たんだろう…。
って、そんなこと考えてる場合じゃない!

階段をかけあがって自室に入ると、スクールバックをつかみ、中身の点検をしようと振り替えったら…

「っ…。なんで…」

振り替えったらそこにいたのは、幼馴染みの森本拓(たく)だった。

「なんで…じゃねぇだろ。駅で待ってたのに、約束の時間過ぎても来ねぇし。」

もしかして、心配してくれたのかな…?

「心配してくれたの?拓のくせに」

「おまっ、なんだよ。拓のくせにって。それにお前を心配したんじゃねえ。学校に遅刻したら俺が困るからだ。」

「ふぅん。どっちでもいいんだけどね。さっさと行こ」

家を出た私たちは、駅へ向かって歩いていった。