(どうしてもその来世を行くと言うのですか?!)

「……」

(貴方にはッ……もっと平和で豊かな来世を選ぶ事が出来るんですよ?!)

来世への扉を潜ろうとする俺を、謎の声が必死……。というか、あり得ないとでも言いたげな声で止める。

俺の居る空間に並んだたくさんの扉ーー。
頭の中に直接話しかけてくる謎の声いわく、これは全て来世への扉らしい。
この扉の数は”その人物が前世をどう生きたか”で決まっているみたいで、有り難い事に俺にはたくさんの来世への選択肢があった。

……が。謎の声は、どうやら俺が選んだ来世が不満らしい。

(幸せになりたくはないんですか?!せっかく貴方には、何不自由ない未来を選ぶ事が出来るのに……っ。それなのにッ……)

「ーーじゃあ聞くけど。”平和”で”豊か”、”何不自由ない未来”って……本当に幸せなのか?」

何とかして説得しようとする謎の声に、俺は逆に質問をぶつけた。