私に申し訳なさそうに謝る雅暉さんの顔が頭から離れない。


 手を繋いでくれた時のぬくもりが忘れられない。


 同じ人間でも、雅暉さんと大和くんじゃ全然違う。


 何もかも忘れられず、体に残っていて痛い。


 私は電車の中で泣かないように深呼吸をして他のことを考えた。


 目的地に近づくに連れて緊張が募る。


 どんな顔で挨拶をしたら良いのだろう。


 気まずい・・・。


 従業員入り口の前でゆっくり呼吸を整えた。


 今日はメイクがうまくいったから崩したくないし、何よりバイト中には絶対泣きたくない。


 雅暉さんの前で泣いてしまって、雅暉さんを困らせるのも嫌だ。


 空さんも、まさか私が雅暉さんのことが好きで告白して、デートして、なんて流れを知るはずもないだろうからバレてしまうのは避けたい。