思い返してみても、いつから、なんて分からない。

最初の彼女との記憶は、幼稚園に入園してすぐ。
誕生日をお祝いされて、驚いて泣き出した彼女の涙を止めたくて。
外に落ちていた桜の枝の中から一番綺麗なものを彼女に渡した。
覚えたての彼女の名前と一緒に。

彼女が泣き止んで、笑顔を見せてくれたときは嬉しくて。

それから、だ。彼女のそばにいるようになったのは。

葵と蒼。俺の読み方を変えると、同じ読み方になるから、と母親同士が喜んで、幼稚園の送り迎えはいつも彼女と一緒だった。

どちらかの母親が迎えに行けない時は一緒に帰って、テレビを観たりご飯を食べたり。

そのまま帰りたくないと言えば、一緒に布団に寝転がって。


そばにいることが当たり前の毎日だった。

小学校に進んでからもそれは変わらなかった。

けれど、そんな関係が許されるのも低学年まで。

徐々に男子と女子は互いを意識し始めるし、俺もまたその一人だった。

幼馴染としてではなく一人の女の子として彼女を守りたいと思っていることに、幼いながらに気づいた。