たとえどっちのお前であっても

「俺の意思次第…か……」
そう呟き、俺は会社へ戻った。
それから家に帰るまでずっと先生の言葉について考えていた。
家に帰ると、一二三がいるはずの家は暗闇と静寂に包まれていた。
「一二三?」
一二三の部屋に行ってみると、机の上に『独歩ちんへ』と書かれた手紙が置いてあった。
それを見つけた瞬間、俺はどうしようもない焦りを感じた。
それでもこの手紙を読まなければと思い、手に取って開いた。
『独歩ちんへ。いっつも俺っちを支えてくれてあんがとね!小学校ん時からずっと一緒だったし、俺っちが女性恐怖症になった時も側にいてくれた……独歩がいてくれてよかった。独歩、ありがとう。独歩の大親友 一二三より』
一二三が何をしようとしているのかすぐに分かった。
俺は家を飛び出した。
月も星も見えなくなった空は、獣のように唸っていた。