冷酷陛下は十三番目の妃候補に愛されたい


斜め上の回答が返ってきた。

想像してみるが、一国の王を尻に敷くなんて恐れ多いし、そう思わせた自覚もない。

要はベタ惚れ状態ってこと?ますますレウル様が私に対して抱く気持ちとかけ離れた気がする。なぜなら、“そそられない”とバッサリ切り捨てられた一件があるからだ。

悶々と考え込む私は眉間にシワを寄せていたらしい。隣から「ふはっ」と笑い声が聞こえた。


「そんなまっすぐ受け止められると心が痛いな。冗談半分ですし、思いっきり主観なので聞き流してください。俺は陛下じゃありませんから」


するとその時、遠くから明るい声が響く。


「あぁ!?ドレイク!お前帰ってきてたのかー!」


中庭を見ると、訓練の休憩中らしきアスランが大きく手を振っている。「うるさいのに見つかった」と呟いて軽く手を振り返すドレイクさんは、視線だけこちらに向けた。


「すみません、少し構ってきますね。夜会ではよろしくお願いします。あと、陛下から女性を紹介されたのは初めてなので、心配なさらずともお嬢さんに本気なんだと思いますよ」


さらっとフォローをして去る背中は、やはり大人だ。

そしてその後、正式に夜会への参加が決まり、妃候補から婚約者に昇格した話が城中を駆け巡ったのである。