情報屋のお兄さんは結構ズバズバ言うタイプだ。ダルトンさんとは犬猿の仲なのか。
やりとりを見る限り主君に対しての忠誠は厚いようだが、相性が悪い人間にはとことん手厳しいらしい。
「ドレイク、報告ありがとう。それにしても、密偵を操っていたのが隣国かもしれないのは厄介だな」
資料の文字を目で追いながら呟くレウル様。
険しい顔をする彼におずおずと尋ねる。
「もしかして、過去の黒い噂があるからですか?」
「それもあるけど、一番はこれだ」
机の引き出しから出したのは一枚の封筒だった。そこに施されていたのは綺麗なシーリングスタンプと隣国の国旗である。
「実は来月、隣国の夜会に招待されているんだ。毎年開かれている外交のための催しでな。妃候補の噂を聞きつけたようで、ランシュアも一緒にって」
「私もですか?」
「ああ。各国の要人が集まるから前向きに検討しようと思ったが、慎重に考えた方がいいかもしれない」


