話を聞くに、人前ではにこやかな仮面を外さないらしい。立ち振る舞いも紳士的で隙がなく、完璧すぎるほど優秀な王。「いつも完全無欠で疲れそう」なんてポロリと口にすると、くすくすと笑い声が聞こえた。
「そんなことをおっしゃった方は初めてです。でも、確かに使用人の前では気を抜けた姿を見せませんね」
知れば知るほどすごい人だ。
決して他人に弱さを見せない彼は、周囲の顔色をうかがって“いい子”を演じてきた自分と似ている気がする……なんて、重ねるのも失礼か。
城の敷地は自由に出入りしていいとの許しをもらっていたため、朝食後に庭へ出ると、訓練中の騎士団が見えた。
どうやら、刃の付いていない模擬の剣を持って手合わせをしているらしい。
田舎では目にしなかった光景を興味本位に眺める中、ずば抜けた剣の才の持ち主に目が留まった。屈強な若き男達にまざってしなやかに剣を振るのは、他でもない陛下だ。
あの人、自ら稽古に参加しているの?
鍛錬というよりも若い騎士に指導をしてあげているように見えるけど……これが普通なんだろうか?
「うわっ!」
その時、耳に届く大きな声。
はっと構えると、近くで手合わせをしていた騎士が相手に弾かれ、手からすっぽ抜けた剣が一直線にこちらへ飛んでくる。


