冷酷陛下は十三番目の妃候補に愛されたい


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翌日の朝。

目を覚ますと豪華な天蓋が見えた。

ひとりで使うのがもったいないほどの広い部屋を与えられ、一晩経った今も落ち着かない。

着替えを済ませた頃、コンコンと部屋の扉が叩かれた。顔を出したのは若いメイドだ。


「おはようございます、ランシュア様。朝食の用意が整いましたのでお呼びに来ました」


名前はカリーヌ。城に滞在する間世話役を任された三つ歳下の少女である。


「わざわざありがとう。陛下はもう食堂に来ているの?」

「いえ。公務がお忙しいようで、すでに朝食はお済みです」


てっきり食事くらいは一緒にとれるのかと思っていたが、そう簡単にはいかないらしい。

陛下は常に忙しそうに臣下と話しているため、玉座で話した後から一度も顔を合わせていない。少しでも親睦を深めたいところなのに。


ふと窓の外を眺めると、視線の先にいるのは例の青い薔薇だ。

いつもニコニコしている文武両道の色男。誰とでも分け隔てなく接し、臣下からの忠誠も厚い。しばらく遠巻きに観察した結果がそれだった。

冷酷非情だと聞いていたが、意外と身内には優しいのか?


「クロウィド陛下はどういう人なの?」

「とても優しくて、見ての通りオーラと気品に溢れたお方です。業務連絡以外でも声かけや気づかいを忘れませんし、使用人を大切にしてくださいます」