「わかりました。では、しばらくお世話になります」
深々と頭を下げると、興味などないと言わんばかりにマントをひるがえして玉座を出て行かれてしまった。
眼中にない態度を示せば心が折れると思われているのだろうか。今までの妃候補は少し冷たくしただけであしらえたのかもしれない。しかし、残念ながら私はそういう扱いに慣れている。
一族への恩返しとしてこの身を差し出すのが使命。リガオ家が抱えている負債を消すためなら大切にされなくたって構わないし、幸せになるつもりもない。
「ランシュア様」
名を呼ばれて顔を上げると、白髪の大臣がうやうやしく胸に手を当てる。
「私は陛下のお父さまの代から大臣として仕えております、エルネスでございます。長旅でお疲れでしょう。お部屋にご案内いたしますので、どうぞこちらへ」
穏やかで包容力がある雰囲気だ。長年培われたのであろう何事にも動じないオーラを感じる。
しかし、その目の奥にはハッキリと“今回はうまくいくだろうか”と言わんばかりの不安が見え隠れしていた。どうやら本心が顔に出やすいタイプらしい。
やるしかないわ。
なんとしてでも見定めの一週間で陛下に受け入れられてみせる……!


